一言でいいから、愛の言葉を

………
「ワシャアしょうもない男でしてなあ」

 
走り出すと同時にタクシーの運転手が語りかけてきました。
 
「稼いだ金は全部マージャンなどの遊びに使ってしまい、一銭も家には入れない。
 
女房は一言も文句をいわずに『お父さんの稼いだお金だから、ご自由にお使いください』といい、子供は女房が一生懸命働いて、立派に教育してくれました。
 
 
女房は器量が悪いので、どこかへ行くときは『うしろから離れてついてこい』などといって、ひどい亭主でした。
 
自分で稼いだ金だけでは足りなくて、女房に『借せろ(名古屋弁で「借せ」の意)』とまでいいましてね。
 
あるとき、女房に『金を借せろ』といいました。
 
女房が『まあ、お父さん、お茶でも飲みましょう』といってパイナップルの缶詰を持ち出してきたのです。
 
“金を借せろというのに何がお茶だ”と思っていました。
 
女房が缶詰をあけたら、中に百円玉や五百円玉がいっぱい詰まっていましてね。
 
『お父さん、少しずつ少しずつ貯金したものです。今これっきりないですが、よかったらこれ使ってください』というんです。
 
 
私は頭をぶんなぐられる思いがしましてね。
 
すまなかった!とほんとうにあやまりました。
 
それから私の人生観は百八十度変わりました。
 
………
 

人は年下や後輩、子供に何か注意されたり、
意見されると、なかなかそれを聞き入れることができない。
 
聞き入れられないどころが、カッとなって孫を殺してしまった年寄りもいた。
 
道元禅師のおっしゃる通り、「道理にかなったことならば、相手が誰であろうとそれにしたがうこと」が大切だ。
 
 
年をとったら丸くなるのではなく、むしろ我慢ができなくなったり、自分の本来の姿や、欠点が出てきてしまう人が多い。 
 
そういう人は、行動範囲が狭くなったり、新たな知識のインプットもなくなり、好奇心もなくなっていく。
 
結果として、人間関係も狭まり、生活もマンネリとなって、許容範囲が狭くなるからだ。
 
そして、若者の行動や価値観を許容できなくなる。
 
 
反対に、いつまでも若者たちと一緒に飲んだり、騒いだりできる人は、常に新しい知識をインプットしたり、新しいことに好奇心旺盛だ。
 
そして、そのことで自分の許容範囲を広げている。
 
すると、いくつになっても、新たな人間関係が広がってくる。
 
 
人間関係を円滑に行うための大事な要素が、
愛語だ。
 
愛語があれば、老若男女、上下わけへだてなく、親しく付き合うことができる。
 
「ていねいな言葉」「あたたかい言葉」
「やさしい言葉」「思いやりに満ちた言葉」
 
そんな『愛語の達人』になりたいです。

 

今ここにある全て

《船越 誠 home page》人が人生で最も必要としているのは、自分の可能性を引き出してくれる人との出会いです。そして、人生において最も有意義な経験の1つは誰かの能力を引き出す存在になることの様に思います。そんな理念の元、ビジネスを通してチームビルディング・個人コンサルにて理念を実現しております。 (株)attitude 代表取締役/人財コンサル/飲食業/アパレル