「昭和と平成の常識」を自分の思考から除外出来た人が生き延びる。
「働き方」を定義しておきましょう。
働き方1.0
年功序列・終身雇用の日本的慣行
働き方2.0
成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方3.0
プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
働き方4.0
フリーエージェント(ギグエコノミー)
働き方5.0
機械がすべての仕事を行うユートピア/ディストピア
安倍政権が進める「働き方改革」とは、働き方1.0を強引に2.0にヴァージョンアップしようとするものです。
これまでの日本の「知識人」は、日本型雇用こそが日本人を幸福にしてきたとして、「働き方改革」を推進する「ネオリベ(新自由主義者)」に呪詛の言葉を投げつけてきました。
グローバル化、知識社会化・リベラル化する世界のなかで、働き方1.0は目を覆わんばかりの機能不全を起こしています。
政権が保守であれリベラルであれ、官民挙げて「改革」しなければどうにもならなくなっているのです。
しかし問題は、働き方2.0を実現したとて、
それではぜんぜん世界の潮流に追いつけないことです。
最先端の働き方は、3.0から4.0に向けて大きく変わりつつあるからです。
その背景にあるのは、中国やインドなど新興国を中心とする急速な経済発展(グローバル化)と、テクノロジーの驚異的な性能向上です。
私たち日本人が抱える困難は、働き方が「未来世界」へと向かうなかで、いまだに「前近代世界」のタコツボに押し込められていることにあるのです。
もちろん、いきなりこんな話をしても「そんなわけない」と反発されるだけかも知れませんが。
いくつかの事実です。
NTTの澤田純社長によると、「(NTT持ち株会社の研究開発の人材は)35歳になるまでに3割がGAFAなどに引き抜かれてしまう」とのことです。
GAFAとは、グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字で、「プラットフォーマー」と呼ばれています。
検索、スマートフォン、SNS、EC(電子商取引)で圧倒的なシェアを持ち、市場の土台(プラットフォーム)を支配しているグローバルIT企業が、日本企業から若くて優秀な人材を次々と引き抜いているのです。
記事によると、NTTの研究開発の初任給は大卒が21万5060円、修士課程が23万7870円ですが、世界的に人材の獲得競争が激しくなっており、GAFAなどは新卒でも優秀なら年収数千万円で採用するとのことです。
日本企業から人材が流出する先はシリコンバレーのIT企業だけではありません。
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が2017年に、日本国内の新卒採用で初任給40万円を提示したことが報じられて衝撃がひろがりました。
ソニーなど日本の電機大手の2倍ちかい水準ですが、経済誌の取材に対してファーウェイの日本法人は「世界的には珍しくはない。優秀な人を採るためのグローバルスタンダード」と答えています。
※(エンゲージメント指数とは=会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する指数)
エンゲージメントの強い社員は仕事に対してポジティブで、会社に忠誠心を持っています。
エンゲージメントが低いと、仕事にネガティブで会社を憎んでいるということになります。
当然、社員のエンゲージメントが高い会社ほど生産性は高くなります。
近年になってエンゲージメントの重要性が認識されるようになって、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関による国際比較が公表されるようになりました。
シリコンバレー在住の経営コンサルタントが、以下のような驚くべきデータを紹介しています。
エーオンヒューイットによる「2014年アジア太平洋地域の社員エンゲージメントの動向」では、日本でエンゲージメントレベルが非常に高い社員は8%(22%)、ある程度高い社員は26%(39%)、低い社員は32%(23%)、非常に低い社員は34%(16%)となっています。
ちなみにカッコ内は世界平均で、日本のエンゲージメントレベルの高い社員がものすごく少なく、低い社員がものすごく多いことがわかります。
エクスペディアジャパンが24ヵ国の社員を対象に実施した2013年の調査では、雇用状況に満足している日本の社員は60%にとどまり、調査対象国中最低を記録しました。
トップは90%のノルウェー、インドが2位、
マレーシアが3位です。
日本経済のいちばんの問題は労働生産性が低いことで、OECD36ヵ国中21位、先進7ヵ国のなかではずっと最下位です。
日本の労働者が生み出す1人当たりの利益(付加価値)は8万4027ドル(約924万円)で、アメリカの労働者(12万7075ドル)の66%しかないのです。
冒頭に戻ります。
「昭和と平成の常識」を自分の思考から除外出来た人が生き延びるでしょう。
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